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「基準“音”(その2)」

民族音楽の楽器として、バグパイプは比較的日本でも知名度が高いのではないだろうか。
最近では「キャンディキャンディのアンソニー??」と言われることは少ないが、中でもスコットランドの「グレートハイランドバグパイプ」と呼ばれる楽器の知名度は高く、ほぼイコールと思っている人も多い。正確には「バグパイプ」とはリードの取り付けられた筒(=パイプ)にバッグに溜められた空気を吹き込んで音を鳴らす楽器の総称で、スコットランドの「グレートハイランドバグパイプ」の他にもアイルランドの「イーリアンパイプス」やスペイン ガリシア地方の「ガイタ」など地域によって異なり、何百もの種類があるという人もいる。
今回はその「グレートハイランドバグパイプ」の基準(音)について話。
バグパイプについて、その形や音のイメージをもっている方は多いと思うが、実際一歩踏み込んでみると、かなりの専門家でもない限り細かなこと、例えばどのような音階や調で演奏されるのか、など知る人は少ないのではないだろうか。「主音はB♭(移調楽器であり記譜音はA)、旋法はG、記譜上のG(通称LowG)からA(通称HighA)までの9音を出すことができる。(ウィキペディア)」だそうだが、いよいよ専門的な表現で解りづらい。移調楽器や旋法という部分は置いておいて、「主音はB♭(・・・記譜音はA)」という部分に注目すると、楽器の基準となる音はB♭(シのフラット)の音であるが、楽譜上A(=ラ)の音として書かれているということだ。音響的に、楽譜上A(=ラ)で描かれている音が440Hzではなく、≒466Hz(A=440Hzの場合、B♭≒466Hz)で演奏されていると考えると大分分かりやすい。
一説によると「スコットランドに広まった時代には少し低めのA調であったが、現在では半音高くB♭調になっている」なのだという。想像するに、ある時急に半音高い楽器を作ったのではなく、時代とともに徐々に音高が上がり、調整を取り半音上がったB♭に落ち着いたのではないだろうか。
場所や時代、環境によって、基準が大きく変わることもある。自分の物差しだけでなくさまざまな尺度をもって物事を考えたいものである。

※バグパイプについて詳しく知りたい方は、
私のバンド仲間の五社義明氏のサイト
http://goshajr.net/
演奏家の友人のサイト
https://piperscaffe.org/main/?p=17318
をご参考ください。

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著者プロフィール
月刊連載『パイント・オブ・ギネス プリーズ!』毎月8日公開
icon_naga長濱武明(音響空間デザイナー・アイルランド音楽演奏家)

1992年に初めて訪れたアイルランドでアイルランド音楽と特有の打楽器であるバウロンに魅了され、以来十数回の渡愛の中で伝統音楽を学び、建築設計の実務も経験する。現在は音響空間デザイナーとしての業務をこなしながら、国内におけるバウロンプレーヤーの第一人者として国内外で演奏活動をする他、プロデューサーとしてコンサートやワークショップを主催している。
バウロン情報サイト バウロニズム https://www.facebook.com/Bodhranizm