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第八回 昼と夜がある街

「きょうの漬物」はとてもいい本です。
著者は京都の台所といわれる錦市場の漬物屋「高倉屋」の店員さん・濱田千香さん。
二十四節気ごとに旬の漬物を紹介している本なのですが、茅の輪くぐりや大文字焼きなどその時々に京都の人たちの暮らしが書かれているんです。
12月にになったらすぐき漬けだ!なんて毎月京都に通いたくなる気分にさせてくれる本です。
漬物だけじゃなくて、フレンチでも中華でも京都は行くたびに季節を感じさせてくれる街ですよね。
京都がスゴいなあといつも思うのは、季節の変化だけじゃなくて、一日の変化も感じさせてくれるところ。
京都の夜ってちゃんと暗いんです。
烏丸通りや、御池通りみたいなメインストリートでも東京の道路と比べると街灯がすくないのか夜がしっかり暗いんです。
夜は暗い。
そんな当たり前の一日の変化を感じさせてくれる街を旅すると、普段、早朝出勤、深夜残業当たり前で完全に麻痺した時間の感覚が矯正されて心地いいのです。
それを最も感じる場所がJRの京都駅。
吹き抜けに階段など、原広司さんの斬新な設計も興味深いけれど、
夜に京都駅に着いたときの「あ、暗い」って感覚が好きです。

 


月刊連載『僕と京都』毎月2日公開
prof_shima 嶋 浩一郎

1993年博報堂入社。スターバックスコーヒーなどで販売された若者向け新聞「SEVEN」編集ディレクター。02年から04年に博報堂刊『広告』編集長を務める。2004年「本屋大賞」立ち上げに参画。現在NPO本屋大賞実行委員会理事。06年既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する「博報堂ケトル」を設立。

カルチャー誌『ケトル』の編集長、エリアニュースサイト「赤坂経済新聞」編集長。2012年下北沢に内沼晋太郎氏との共同事業として本屋B&Bを開業。

編著書に『CHILDLENS』(リトルモア)、『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』(ディスカヴァー21)、『企画力』(翔泳社)、『このツイートは覚えておかなくちゃ。』(講談社)、『人が動く ものが売れる編集術 ブランド「メディア」のつくり方』(誠文堂新光社)がある。

好きなもの:ブルゴーニュワイン 地図帳 吸引式万年筆 時刻表 シングルモルト 新聞 年功序列とサラリーマン 歌川国芳 アヒルストア 小津安二郎 博士の異常な愛情 ウディアレン 鉛筆 檜のお風呂 ポストイット 僕は散歩と雑学が好き 神保町 マルセルラピエール アポロ計画 ラジオ 教育テレビ 京都