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第六回 鴨川でなぜか亀のことを考える

鴨川の流れを見ていると
京都にやってきたって気分になります。

夏に先斗町の川床から眺める鴨川、
東海道の終点、広重の浮世絵にも描かれた
三条大橋から夜に眺める鴨川、
どちらも魅力的なんですが、
京都を代表するこの川を徹底的に堪能するには
橋を渡るのではなく、
飛び石をジャンプして渡りたい!

1990年代に地元の子供たちに
天候と川の増水の関係を理解してもらうために
京都市は6か所飛び石を作ったんです。
ピョン、ピョンとジャンプして川を渡ることができます。
これが、結構スリリング。
足元の川は意外に激しい流れの日もあります。

場所ごとに亀や鳥や舟の形の石が配置されていて、
石と石の距離もさまざま。
自分は荒神橋ちかくの飛び石が好き。
ここの飛び石の形は亀。
11匹の亀の背中をジャンプしながら対岸に渡れるんです。
橋の上から眺める鴨川とは全く違うランドスケープを味わえますよ。

この亀の飛び石がある荒神橋付近の河原は公園になっていて、
ここは「火曜サスペンス」のロケ地として有名。
あの、サスペンスドラマの帝王船越英一郎が何度も犯人を連れて歩いた場所なんです。
ちなみに、船越英一郎がテレビで言ってたけど、
彼のベルトのバックルは亀の形なんだそうです。

この飛び石をジャンプして渡る左京区には
かつてガケ書房という本屋さんがありました。
その本屋さんは亀を飼っていたなあ。

これははたして偶然なのか?
鴨川を見ると亀のことで眠れなくなるのです。

 


月刊連載『僕と京都』毎月2日公開
prof_shima 嶋 浩一郎

1993年博報堂入社。スターバックスコーヒーなどで販売された若者向け新聞「SEVEN」編集ディレクター。02年から04年に博報堂刊『広告』編集長を務める。2004年「本屋大賞」立ち上げに参画。現在NPO本屋大賞実行委員会理事。06年既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する「博報堂ケトル」を設立。

カルチャー誌『ケトル』の編集長、エリアニュースサイト「赤坂経済新聞」編集長。2012年下北沢に内沼晋太郎氏との共同事業として本屋B&Bを開業。

編著書に『CHILDLENS』(リトルモア)、『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』(ディスカヴァー21)、『企画力』(翔泳社)、『このツイートは覚えておかなくちゃ。』(講談社)、『人が動く ものが売れる編集術 ブランド「メディア」のつくり方』(誠文堂新光社)がある。

好きなもの:ブルゴーニュワイン 地図帳 吸引式万年筆 時刻表 シングルモルト 新聞 年功序列とサラリーマン 歌川国芳 アヒルストア 小津安二郎 博士の異常な愛情 ウディアレン 鉛筆 檜のお風呂 ポストイット 僕は散歩と雑学が好き 神保町 マルセルラピエール アポロ計画 ラジオ 教育テレビ 京都